テーラーメイド、キャロウェイ、ピン、コブラ、タイトリストのドライバーが一堂に会するこの研究は、まさにゴルフ愛好者にとっての宝庫です。それぞれのブランドが持つ独自のテクノロジーやデザイン哲学がどのようにパフォーマンスに影響するのか、とても楽しみです。



1. 東五反田ギア総合研究所での徹底計測

東五反田ギア総合研究所でキャロウェイ「ELYTE」を中心に5つのメーカーのドライバーを徹底的に計測した。
本研究所は、ジューシー株式会社の松吉宗之氏を迎えてヘッドの詳細な計測を行い、野仲茂プロによる試打も実施した。
主に注目されたのは、新たに開発されたキャロウェイの「ELYTE」シリーズ。
このシリーズは、プロフェッショナルでも使用される先進的な設計が施されている。
計測では、「重心深度」と「重心距離」に特に注目した。
重心深度が重心距離よりも深いと、「ELYTE」は軽やかで正確にボールを捕えることができる。
この設計により、ゴルファーはスイングの際により安定したパフォーマンスを発揮できるのだ。
さらに、新シリーズはAIを活用した革新技術を駆使し、初速性能を最大化している点も見逃せない。
ドローバイアスの「X」モデルはスライスがちなゴルファーに特に効果的で、フェースが自然に左に向くように設計されている。
一方、プロや上級者向けの「◆◆◆」モデルは、ツアーで使用するプロに対応する仕様で、精密なコントロールを可能にする設計を採用。
このように、多様なニーズに応えるために多角的なアプローチをとるキャロウェイ。
その設計思想は、多くのゴルファーにとって理想的な選択肢を提供している。

2. キャロウェイ「ELYTE」の特徴と評価

キャロウェイ「ELYTE」は、多くのゴルファーに親しまれるスタンダードモデルの代表格である。そのバランスの良さ、やさしさが特に注目される。ELYTEの設計は簡単にまとめれば、重心深度がやや深く、重心距離がやや短い。これが絶妙なバランスを生み出し、初心者でも安心して振れるドライバーとして人気を誇る。その一方で、プロ仕様の「◆◆◆」やドローバイアスの「X」は、ゴルファーのニーズに応じた多様な特性を持つ。このドライバーは、初心者から上級者まで幅広い層に対応できるように設計されている。

スタンダードモデル「ELYTE」は、重心深度が重心距離に比べてわずかに深く、バランスの取れた設計となっている。ミスヒット時の寛容性も高く、左右MOIが5000 g・cm2を超えることからも、安定したパフォーマンスを提供することができる。また、かつては重心距離が長いドライバーを作っていたが、現在では他社よりも短めの設定となっている。


一方で、ドローバイアスモデルの「X」は、高い捕まり性能が特徴で、右方向に打ち出してしまうプレーヤーに最適だ。特に43mmを超える重心深度は、フェースが自然に左を向いてインパクトできる設計であり、正しいスイングができていない人にとっては助けになる。また、これに対する石川遼選手の採用理由は、フェースローテーションを抑えたスイングに対する適合性が挙げられる。「X」は、強振時でもスイングの自由度を奪わない設計がなされている。

プロ仕様の「◆◆◆」はその名の通り、ツアーモデルとしての評価が高い設計を持つ。左に行きたくないゴルファーに適しており、フェースコントロールがしやすいが、初心者には難しいとされることが多い。しかし、実際にはフレンドリーで打ちやすく、ミスヒットにも強い一面を持つ。これは、設計における左右MOIの数値が高いことからも分かるように、数値を重視した優れた設計の結果である。

3. 重心深度と重心距離の関係とは?

キャロウェイのELYTEドライバーは、その設計において重心深度と重心距離の微妙なバランスが取られており、その特性が非常に興味深い。重心深度が重心距離よりも大きい場合、ドライバーはやさしい性質を持つとされる。これは、ボールがより簡単に捕まるという特性を与えるためだ。逆に、重心深度が浅いとボールは滑りやすく、捕まりづらくなる。このため、プロや上級者向けのモデルでは重心深度が浅めに設計されることが多い。

今回の特集では、重心深度と重心距離の違いを色で示し、黄色はバランスの取れた普通の特性、青はボールが捕まりやすい特性、赤は捕まりづらい特性を表している。この視覚的なアプローチにより、ゴルファーは自身に合ったクラブを選びやすくなっている。

ELYTEシリーズの各モデルには、こうした色分けされた特性が細かく設定されている。たとえば、スタンダードモデルはバランスの取れた黄の特性を持ち、初心者から中級者まで幅広い層に適している。一方、ドローバイアスが強いXモデルは、重心深度と重心距離の差が小さく、フェースが左を向くことでボールが右に行きづらい設計になっている。さらに、プロや上級者向けの◆◆◆モデルは、コントロール性能が重視されやすいように設計され、場合によってはウエートの交換でさらなる調整が可能だ。

キャロウェイのドライバーは、これまでの進化を遂げながら、ゴルファーの技術レベルやプレイスタイルに応じた多様な選択肢を提供している。初速性能の向上を追求しつつも、そのやさしさとパフォーマンスを兼ね備えた設計は、多くのプレイヤーにとって理想的な装備となろう。

4. 石川遼が選んだ「X」モデル、その理由

ゴルフのトッププロとして名を馳せる石川遼が選んだ「X」モデル。この選択には彼のスイングスタイルが深く関わっている。なぜなら、彼はフェースローテーションを抑えたスイングを追求しているからだ。この「X」モデルは、フェースローテーションを抑えつつも自然につかまる性能を持つ。その設計は、大慣性モーメントヘッドを採用することで達成されている。このようなクラブは、強振しても安心して打てると石川は語る。

石川がこれまで使用してきたモデルとは異なり、「X」には特別な設計が施されている。重心深度が44.6mmと深く、重心距離が41.5mmと短いため、フェースが自然に左を向いてインパクトするためだ。これにより、インパクトの瞬間に精密なフェースコントロールを求められることがなく、その結果として安定したショットが可能になる。この「X」は、正確なスイングが難しいシーンでもプロのパフォーマンスを助けることができるのだ。

また、石川にとって重要なのは、フェースを開いてインパクトする際の感覚を残しながらスウィングすること。一般的に、重心移動が大きくなるほどクラブは扱いにくくなるが、「X」はその反対の特性を持つ。つまり、つかまりやすいだけでなく、操作性も優れているということだ。石川がこのモデルを選んだのは、彼自身の進化した新たなスイングスタイルにより適したクラブであると確信したからである。彼にとって、「X」は次のステップへの糸口となる。

5. まとめ

キャロウェイの「ELYTE」ドライバーは、初心者からプロまでの幅広いゴルファーに対応できる優れたドライバーである。
このシリーズは、大きく分けてスタンダードモデル、ドローバイアスの「X」、そしてプロ仕様の「◆◆◆」の三モデルから成り立っている。
それぞれのモデルは、重心深度と重心距離を巧みに組み合わせることで、異なるタイプのゴルファーがそれぞれに合った選択をできる設計となっている。
特に「ELYTE X」は、スウィングが安定しないゴルファーに向け、フェースが自然と左を向く設計になっており、石川遼選手もその効果を高く評価している。
「◆◆◆」は、さらに高度なコントロールが求められるプレイヤー向けに作られており、左への不必要な動きを抑えることができる。
キャロウェイは長年にわたり、テクノロジーを駆使したクラブ設計を推進してきており、近年はAIを活用することでさらなる進化を遂げている。
こうした技術力が、「ELYTE」シリーズのバランスの良い設計にも反映されており、各モデルの性能を最大限に引き出す設計思想が貫かれている。
プロフェッショナルだけでなく、一般ゴルファーが安心してプレーを楽しめるような設計が随所に見られるのも、キャロウェイのクラブの魅力である。